戒厳令下のフルオさん

- 続 FOOL ON THE WEB -

久々のできごと

今日の起床は6時半。しっかりと眠れてすっきりと起きた感覚がありました。昨日は午後からだったものの半日暑い中を歩き回って、しっかりと体力を使って気持ちよく疲れたからでしょう。こういうリズムを心に留めて、不調になりそうな時に対応できるようになるとこの心の病のコントロールも楽になるのですが、なかなか一筋縄ではいきません。ただ、そこであきらめて手をこまねいてばかりでは、深刻な状態におちいる可能性といつも隣り合わせなわけで、そうしたくはない。難しいことはわかっていても少しでも改善しようという努力は持ち続けようと思っています。

 

23日に久しぶりに本を買いました。買った本は馳星周著「犬と少年」。馳星周は学生の頃、本の雑誌やこのミスを読んでいた時にデビュー作の「不夜城」を買った頃からの読者でした。不夜城のストーリーのバックグラウンドとして当時の歌舞伎町の状況があるのですが、ちょうどその当時大学の後学年で比較的自由に飲みに行ける状況で、僕たちの学校だと新宿がテリトリー(その頃学校によって明確なテリトリーがありました。沿線で新宿よりも学校から近い下北沢は東大のテリトリーなので敬遠するとか)だったので色々な噂話を聞いたりして、非常にリアリティーを持って読んでいました。ちなみに今当時のことをネットで検索すると、当時デマとして流れたことをさも見てきたように得意げに話している人たちがいて、とても面白いです。

 

実はこの病気になってから、本が読めなくなっていました。本を読もうという欲求はあるのだけれど、目で字面を追っても全く頭の中に入ってこない。頭の中に入れるのには何回も読み返す必要がある。前はさらっと読むだけでストーリーが頭の中に構築できていたものが頭の中に何も浮かばない。病気になって少し元気を取り戻して本でも読もうかと思った頃からこの症状になってしまって、そして事あるごとにもう読めるのではないかと挑戦して、やっぱり駄目だということが続いていつしか本を読む、本を読もうとすることが苦痛になっていました。

 

そういう訳で今回もダメもとでの購入だったのですが、読みはじめたら気持ちよく読めて、読み返しもあまり必要なく(それでも何度か読み返したけれど)、実質4日間で読めてしまいました。読むのが早い人なら数時間で読めてしまうほどのボリュームですが、僕としては久々の嬉しい出来事です。何より途中で挫折しなかったというのが嬉しい。おそらく小説自体のボリューム、登場人物やストーリーの複雑さ、連作という形態、感受性豊かな頃に慣れ親しんだ文体、いずれもが今の僕の読書能力にマッチしたのだと思います。読破できたことはもちろん、物語としても素晴らしく、とても有意義な連休となりました。

 

馳星周といえばノワールという方も多いと思いますが、デビュー作から一貫して世の中の弱者というか虐げられた人々に対する温かい目というものを僕は感じていて、僕の弱者に対する見方というか姿勢というか、そういったものを形づくってくれた作家のひとりだと思っています。

 

2020年7月27日 19:35 駅前の喫茶店にて